Topics 6 自然免疫
東京大学医科学研究所感染・免疫大部門感染遺伝学分野
結核やインフルエンザなどの感染症は依然として驚異である.ヒトなどの多細胞生物は外来からの病原体の侵入に常にさらされているため,免疫系の活性化による病原体の認識・排除は多細胞生物が成立するための恒常性維持機構の一つである.なかでも,自然免疫は病原体感染初期に機能する免疫機構で,自然免疫の活性化により獲得免疫の活性化が誘発される.また,近年の研究により自然免疫は感染症の初期応答に必須であると同時に,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)などの自己免疫疾患の発症に深く関わっていることが報告されている.本稿では,病原体感染初期応答に始まり,自己免疫疾患などの疾患の発症における自然免疫の役割について概説する.
連絡先:三宅 健介
〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1
東京大学医科学研究所感染・免疫大部門感染遺伝学分野
日呼吸誌, 3(5): 650-655, 2014