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多発肺内転移および胸膜播種を伴った胸腺類基底細胞癌の1例
荻野 浩嗣a 池田 顕彦a 井手口周平a 纐纈 力也a 橋本 公夫b
a西神戸医療センター呼吸器内科
b同 病理科
症例は71歳,男性.右胸痛を主訴に受診.CT検査で,前縦隔の不整形腫瘤影,両肺野多発結節影および右胸膜播種像を認めた.胸腔鏡下生検により,類基底細胞癌と診断.画像的に胸腺原発と考えられた.根治切除は困難であり,化学療法のみを行った.明らかな腫瘍縮小効果は得られず,緩徐な増大傾向を認めるものの,初回治療開始後約2年7ヶ月現在,全身状態の悪化なく生存中である.胸腺類基底細胞癌はきわめてまれで,本症例を含めて40例が報告されているにすぎない.
Received 19 Dec 2013 / Accepted 14 Feb 2014
連絡先:荻野 浩嗣
〒651-2273 兵庫県神戸市西区糀台5-7-1
西神戸医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 3(4): 575-579, 2014