X線およびCT上所見に乏しかったため診断に苦慮した気管支動脈肺動脈瘻大量喀血の1例
吉田 喜子a 下村 巌a 飯岡 義教a 藤本 肇b 橋本 一樹c 吉田 康秀a
a沼津市立病院呼吸器内科
b同 放射線科
c聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院放射線科
症例は70歳,男性.喀血を主訴に沼津市立病院呼吸器内科を受診した.入院時の胸部X線,胸部造影CTでは特記すべき異常所見は認められなかった.気管支鏡では気管支腔内に血液の付着を認めたが,出血源は同定できなかった.経過中に大量喀血を複数回にわたり繰り返したため,気管支動脈造影を施行したところ気管支動脈末梢と肺動脈に交通を認め,気管支動脈肺動脈瘻の診断に至った.塞栓後は再喀血なく経過した.CTで異常所見のない喀血例においても気管支肺動静脈瘻の可能性を考慮し,早期に気管支動脈造影を行うことが重要であると考えられた.
喀血 シャント 気管支動脈肺動脈瘻 気管支動脈塞栓術 気管支動脈造影
Received 15 Oct 2013 / Accepted 12 Mar 2014
連絡先:吉田 喜子
〒410-0302 静岡県沼津市東椎路字春ノ木550
沼津市立病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(4): 558-562, 2014