膀胱転移からの出血制御に苦慮した原発性肺腺癌の1例
後藤 昭彦 伊東 猛雄 増田 大輝 向井 豊 山末 まり 門田 淳一
大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座
症例は58歳,男性.原発性肺腺癌(cT4N3M0,stage IIIb)と診断され,化学療法を施行したが多臓器転移をきたした.レジメン変更後は膀胱転移巣のみ増大し,持続性血尿で緊急入院した.膀胱出血のコントロールに難渋したが経動脈塞栓術により止血した.膀胱部分切除術を行い,病理学的に肺癌膀胱転移と確定診断した.肺癌膀胱転移は非常にまれである.また,膀胱転移巣のみ増大した原因として抗癌薬の組織移行性や抗癌薬耐性獲得が関与した可能性が考えられた.
Received 19 Jul 2013 / Accepted 20 Jan 2014
連絡先:後藤 昭彦
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座
日呼吸誌, 3(3): 401-404, 2014