顕著な肺高血圧症を伴った肺気腫の1例―肺野小血管断面積の評価からみた病態の解析―
西村 眞樹a 山口 悦郎a 田中 博之a 横江 徳仁a 勝田 英介b 石口 恒男b
a愛知医科大学呼吸器・アレルギー内科
b同 放射線科
患者は労作時呼吸困難を主訴とする69歳,男性.胸部CTで,軽度の肺気腫と限局的な間質性肺炎を認め,呼吸機能検査ではDLcoのみが低下していた.心臓カテーテル検査では,肺動脈圧77/35(平均51)mmHgと高度の肺高血圧症(PH)を呈していた.肺血栓塞栓症,膠原病,その他の肺動脈性肺高血圧症は否定され,軽度の肺気腫に関連したout of proportion PHと考えられた.CTでの肺野小血管断面積を用いて既報の方法で推定した肺動脈圧値と実測値は近似しており,肺気腫でのPHをCT像から予測できる可能性がある.
Received 4 Jul 2013 / Accepted 9 Jan 2014
連絡先:西村 眞樹
〒480-1195 愛知県愛知郡長久手市岩作雁又1-1
愛知医科大学呼吸器・アレルギー内科
日呼吸誌, 3(3): 395-400, 2014