結核菌感染を契機に増悪を呈した間質性肺炎の1剖検例
杉山 牧子a 竹田 隆之a 齋藤 昌彦a 板野 秀樹a 小橋陽一郎b
a宇治徳洲会病院呼吸器内科・呼吸器外科
b天理よろづ相談所病院病理部
症例は79歳,女性.2008年11月に胸部CTにてすりガラス陰影を認め,間質性肺炎と診断した.2009年9月にすりガラス陰影の増悪と乾性の咳を認めたので,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液の培養結果より結核菌が陽性であり,抗結核薬による治療を開始した.5ヶ月後に間質性肺炎が急速に増悪し,死亡した.剖検肺では,線維化病巣のなかに壊死を伴わない類上皮型の肉芽腫を認めた.間質性肺炎の治療にステロイドや免疫抑制剤を使用していない状態で肺結核症を併発し,間質性肺炎が増悪した症例報告は文献検索上まれである.間質性肺炎と肺結核症の関連についての考察と剖検所見を提示し報告する.
Received 23 May 2013 / Accepted 13 Dec 2013
連絡先:杉山 牧子
〒610-0113 京都府宇治市小倉町春日森86
宇治徳洲会病院呼吸器内科・呼吸器外科
日呼吸誌, 3(3): 390-394, 2014