Topics 6 増悪に関する最新の知見
横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
増悪は,患者のQOLや呼吸機能を低下させ,生命予後を悪化させるため,増悪の予防に努めることがきわめて重要となる.増悪頻度は,呼吸機能の低下とともに増加するが,増悪を予測する単一要因としては,過去の増悪歴が最も重要である.したがって,患者の増悪歴を十分に把握し,頻回の増悪歴を有する患者に対しては,より重点的に管理することが必要になる.さらに,増悪を起こしやすい患者の特徴として,咳や痰が多いフェノタイプ(病型)が知られている.また,血液中の炎症性バイオマーカーが高値であるほど増悪頻度が高いことが報告されている.したがって,増悪の予防のためには,現在の気管支拡張薬を主体とした治療に加えて,抗炎症治療を行うことが有効な治療戦略となると考えられる.
増悪 フェノタイプ 長時間作用性抗コリン薬(LAMA) 長時間作用性β2刺激薬(LABA) ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害薬
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横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
日呼吸誌, 3(3): 352-357, 2014