難治性誤嚥性肺炎を契機に診断した高齢発症筋萎縮性側索硬化症の1例
石川 宏明a 田地 広明a 山口 哲人b 保坂 愛b 野寺 博志a 寺本 信嗣a
a株式会社日立製作所ひたちなか総合病院呼吸器内科
b同 神経内科
症例は85歳,男性.201X年1月から咳嗽,喀痰が持続し,2月に肺炎の診断で抗菌薬を開始され3度にわたり薬を変更するも改善せず,4月に精査目的に入院した.気管支肺胞洗浄液で好中球優位の細胞増多を認め,嚥下造影検査で気管内侵入を認めたことから誤嚥性肺炎と診断し,口腔ケアを加えて治療を継続したが改善しなかった.嚥下機能が比較的急速に悪化していたため,神経学的検索を行い,進行性下位運動ニューロン障害などから筋萎縮性側索硬化症と診断した.誤嚥性肺炎が進行性神経疾患の最初の病態となる場合があり,注意が必要である.
難治性誤嚥性肺炎 嚥下障害 嚥下造影検査 筋萎縮性側索硬化症
Received 1 Oct 2013 / Accepted 3 Dec 2013
連絡先:寺本 信嗣
〒312-0057 茨城県ひたちなか市石川町20-1
株式会社日立製作所ひたちなか総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(2): 297-299, 2014