ゾレドロン酸の単独投与で原発巣の縮小および疼痛の改善を得た肺腺癌の1例
井上 健男 峯下 昌道 村岡 弘海 岡本真理子 井上 哲兵 宮澤 輝臣
聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症内科学教室
症例は87歳,男性.胸痛精査目的で施行した胸部X線写真で左肺に腫瘤影を認め精査の結果,原発性肺癌cT3N1M1b(脳・骨転移),Stage IVと診断された.年齢とperformance status(PS)を考慮し緩和医療に専念した.固形癌骨転移による骨関連事象に対してゾレドロン酸の有効性が証明されており,本症例ではゾレドロン酸の投与のみ施行した.投与後より疼痛が改善しただけでなく原発巣が縮小しており,ゾレドロン酸による抗腫瘍効果が非小細胞肺癌にもみられる可能性が示唆された.
Received 27 Aug 2013 / Accepted 28 Nov 2013
連絡先:宮澤 輝臣
〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症内科学教室
日呼吸誌, 3(2): 276-280, 2014