遷延する経過をたどった競技用白線石灰(炭酸カルシウム)吸入による慢性肺障害の1例
齋藤 弘明a 足立 雄太a 山下 高明a 篠原 陽子a 稲垣 雅春b 鈴木 恵子c
a総合病院土浦協同病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
c同 病理部
症例は45歳,男性.X−2年8月に駐車場に白線を引くため,狭い倉庫内でマスクをせずに競技用白線石灰(炭酸カルシウム)を容器に移し替える作業をした.当日夜より咳嗽が出現し,他院で経過をみられていたが呼吸困難を認めるようになり,X年1月に精査目的で総合病院土浦協同病院呼吸器内科に紹介入院した.胸部CTでびまん性に末梢側優位のすりガラス陰影を認め,胸腔鏡下肺生検組織で肺胞内にカルシウム沈着と異物巨細胞の集簇を多数認めた.白線用の石灰と生検検体の元素分析結果が一致し,石灰吸入による慢性肺障害と診断した.貴重な症例と考え報告する.
競技用白線石灰 塵肺 慢性肺障害 誘導プラズマ結合発光分析法 炭酸カルシウム
Received 14 Aug 2013 / Accepted 24 Oct 2013
連絡先:齋藤 弘明
〒300-0053 茨城県土浦市真鍋新町11-7
総合病院土浦協同病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(2): 265-269, 2014