エベロリムス(サーティカン®)による薬剤性肺障害の1例
武田 倫子a 浅井 一久a 井尻 尚樹a 金澤 博a 内田 潤次b 平田 一人a
a大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
b同 泌尿器科学
症例は70歳,男性.2011年6月に生体腎移植施行.2012年9月より免疫抑制剤のエベロリムス[everolimus;サーティカン®(Certican®)]の内服を開始し,約3ヶ月後に呼吸困難と胸部単純CTにて上葉中心の斑状のすりガラス陰影を認めた.気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の細胞増加があり,経気管支肺生検で器質化肺炎の所見を得た.経過よりエベロリムス(サーティカン®)による薬剤性肺障害と診断して内服を中止したところ,症状と画像所見の改善を認めた.我が国において免疫抑制剤として使用される低用量のエベロリムスによる薬剤性肺障害の報告はなく,本例は貴重な症例と考えられた.
薬剤性肺障害 エベロリムス(サーティカン®) 腎移植 免疫抑制剤
Received 22 Apr 2013 / Accepted 11 Oct 2013
連絡先:武田 倫子
〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3
大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 3(2): 227-231, 2014