結核性胸膜炎の治療開始後に浸潤影を認め,気管支鏡検査で初期悪化が疑われた1例
関谷 充晃a 市川 昌子a 村木 慶子a 鈴木 洋平a 植草 利公b 高橋 和久a
a順天堂大学医学部呼吸器内科
b関東労災病院病理診断科
症例は21歳,男性.右胸水を認め,2011年4月下旬に,胸水穿刺を施行.ADA高値,リンパ球優位の滲出性胸水であり,QFT陽性より結核性胸膜炎と診断し,6月上旬から抗結核薬を開始した.同月下旬に右胸痛が増悪し,右中葉に新たに浸潤影が出現した.気管支鏡を施行し,右B4aから洗浄液,擦過塗抹では結核菌PCRおよび塗抹陰性であったが,経気管支肺生検で類上皮細胞肉芽腫を認めた.結核性胸膜炎の加療中に生じた初期悪化と診断した.抗結核薬を継続し,治療開始3ヶ月目には右中葉の浸潤影も消失し,胸水も減少した.
Received 18 Jun 2013 / Accepted 25 Sep 2013
連絡先:関谷 充晃
〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1
順天堂大学医学部呼吸器内科
日呼吸誌, 3(1): 116-120, 2014