サルコイドーシスと肺非結核性抗酸菌症の経過中に発症した肺多形癌の1例
名古屋市立大学大学院医学研究科・腫瘍・免疫内科学
症例は76歳,女性.胸部CTにて右肺中葉結節影,両肺門縦隔リンパ節腫大を指摘された.CTガイド下生検の病理所見および気管支鏡吸引痰培養により,結節影は肺非結核性抗酸菌症と診断,一方,縦隔リンパ節腫大は超音波気管支鏡下生検の病理所見および他の臨床所見とあわせサルコイドーシスと診断した.その後経過観察中に左肺下葉陰影が増大し,胸腔鏡下切除で肺多形癌と診断した.単一疾患の経過としては非典型的と判断し,適宜精査を追加しすべての確定診断に至った.これら3疾患を合併した報告は過去になく,貴重な症例と考えた.
Received 4 Jun 2013 / Accepted 3 Sep 2013
連絡先:土方 寿聡
〒467-8601 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1
名古屋市立大学大学院医学研究科・腫瘍・免疫内科学
日呼吸誌, 3(1): 103-106, 2014