肝細胞癌発症と同時期に高齢発症のループス胸膜炎が疑われた1例
苦瓜 夏希a 安藤 克利b 佐藤 弘一a,b 山本 章人a,b 高橋 和久b
a東部地域病院内科
b順天堂大学医学部・大学院医学研究科呼吸器内科
症例は79歳,男性.胸水貯留と肝臓に多発する腫瘤性病変を指摘され,当院を受診した.血清および胸水中の抗核抗体強陽性,補体値の低下,胸水中の抗核抗体/IgG比の上昇や画像所見よりループス胸膜炎と肝細胞癌の合併を疑い,ステロイド治療を開始したところ胸水は改善した.ループス胸膜炎は,全身性エリテマトーデスの1症状として若年女性に発症することが多く,胸膜炎による胸水で発症する例や高齢男性の発症例の報告は少ない.本例のような肝細胞癌の合併例はまれであり,腫瘍に伴う二次性発症の可能性も考慮された.
Received 22 May 2013 / Accepted 19 Aug 2013
連絡先:安藤 克利
〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1
東部地域病院内科
日呼吸誌, 3(1): 89-92, 2014