β遮断薬が奏効した肝硬変による乳び胸の1例
樋口 清一 富澤 麻衣 掛川 早紀 鈴木 邦明 石原 真一 小林 裕幸
伊勢崎市民病院内科
症例は68歳,男性.肝硬変と腎不全で近医通院中であった.胸水の精査目的で伊勢崎市民病院内科へ紹介となった.胸水は漏出性ではあったが,トリグリセリドが高値であり乳び胸と診断した.全身検索で原因がはっきりしなかったため食事療法や胸膜癒着術を行ったが,奏効しなかった.そこで,腹水の検査も行ったところ,同様に乳びであった.そのため,原因として肝硬変を疑い,門脈圧降下剤としてβ遮断薬を使用したところ胸水の改善をみた.肝硬変は乳び胸の原因となりうること,また,その胸水の特徴としては漏出性であるということが重要であると思われた.
Received 5 Apr 2013 / Accepted 19 Aug 2013
連絡先:樋口 清一
〒372-0817 群馬県伊勢崎市連取元町12-1
伊勢崎市民病院内科
日呼吸誌, 3(1): 70-74, 2014