経食道的超音波内視鏡下穿刺吸引術によって診断した悪性胸膜中皮腫の1例
猿渡 功一a,b,* 今村 文哉b 津守 香里b 浦田 孝広c 福田 精二d 興梠 博次a
a熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
b熊本赤十字病院呼吸器内科
c同 消化器内科
d同 病理部
*現 国立がん研究センター東病院呼吸器内科
症例は79歳,男性.主訴は背部痛と呼吸苦で,造影CTにて食道と胸部下降大動脈を取り囲む縦隔腫瘤および両側胸水を認めた.胸水中ヒアルロン酸の高値,class Vの異型細胞を検出し,経食道的超音波内視鏡下穿刺吸引術(endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration:EUS-FNA)にて大型で上皮性の異型細胞を認めた.免疫染色ではcarletininとD2-40が陽性,tyroid tissue factor-1(TTF-1)とCEAが陰性であることから,上皮型悪性胸膜中皮腫と診断した.胸膜癒着術を行い,carboplatin+pemetrexed療法にて腫瘍縮小を認めた.本症例は食道・大動脈周囲に進展した悪性胸膜中皮腫で,EUS-FNAが確定診断と治療方針に有用であった.
Received 29 Mar 2013 / Accepted 2 Sep 2013
連絡先:猿渡 功一
〒860-8556 熊本市中央区本荘1-1-1
熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 3(1): 65-69, 2014