イソニアジドを用いた肺結核治療における血中ビタミンB6濃度の推移
松本 正孝a,b 井手口周平b 濱川 正光c 荻野 浩嗣b 纐纈 力也b 桜井 稔泰b 多田 公英b 池田 顕彦b
a北播磨総合医療センター呼吸器内科
b西神戸医療センター呼吸器内科
c市立堺病院呼吸器内科
イソニアジド(isoniazid:INH)投与にて血中ビタミンB6(VB6)濃度が低下することが知られているが,実臨床における検討は十分ではない.西神戸医療センターに肺結核治療目的で入院した患者に対して,INH服用前,2,4週後の血中VB6濃度を測定し,末梢神経障害の有無についても調査した.VB6血中濃度は,入院時には14例中10例で正常値以下であり,INH服用2,4週後ともに,必要栄養量を満たす食事摂取下においてもさらに低下する傾向が確認された.観察期間中に末梢神経障害の発生は認めなかった.今後,INH投与時におけるVB6補充療法の必要性について,多施設でのランダム化比較試験が望まれる.
イソニアジド ビタミンB6 ピリドキサール 末梢神経障害 結核
Received 14 Aug 2013 / Accepted 16 Oct 2013
連絡先:松本 正孝
〒675-1392 兵庫県小野市市場町926-250
北播磨総合医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 3(1): 56-60, 2014