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病理診断最新情報
―腺癌新分類の動向と,新しい遺伝子変化を有する肺腺癌の形態像―
愛知県がんセンター遺伝子病理診断部
肺癌治療における病理診断の役割は癌の診断に始まり,個別化医療の患者選択に及ぶ.そのなかにおいて,2011年に提言された肺腺癌の新分類は重要な役割を果たし,その検証が行われつつある.その結果では,新設されたAIS,MIAについては,5年生存率100%という当初の提言の再現性が高く,複数の施設からの結果であることとあわせて,多少の違いを超えて頑強に分類される組織亜型といえよう.そのほかにも臨床病理学的な特徴との関連が報告されている.この新分類が発表された後に,ROS1,RETなどの新たな遺伝子変化が同定され,それとの組織学的な関連も示唆されている.それらの新たな変異についても新分類のなかでの位置づけが待たれる.
肺腺癌 IASLC/ATS/ERS腺癌分類 ROS1 RET NRG1
連絡先:谷田部 恭
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愛知県がんセンター遺伝子病理診断部
日呼吸誌, 3(1): 16-22, 2014