Editorial
変化する肺癌治療
—薬物療法個別化時代の問題点と展開—
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
癌治療は,「放射線治療の進歩」「低侵襲手術」をはじめとする医療工学に基づいた治療など,大きな進歩がみられているが,近年の最も大きな進展は分子標的治療薬の開発であり,多くの領域で生存期間の延長がもたらされている.肺癌の領域でもこの領域は速度をあげて進歩している.その効果を最大限に生かすためには,個別化技術が基盤となる.治療の個別化への診断技術の進歩,治療に直結した病理分類の検討,免疫修飾など,関連した領域の研究が進んでいるが,この進歩に伴い多くの問題点が明らかになってきている.分子診断技術の限界,包括的高感度検査法の必要性,耐性機構の診断などが至近の問題と言える.また,代謝拮抗薬の新展開,血管新生薬剤の適性使用,新たな標的等,分子異常に基づく個別化とは別の領域の新展開も見逃せない.
連絡先:弦間 昭彦
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日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 3(1): 4-8, 2014