胸腔内出血をきたした妊娠合併遺伝性出血性毛細血管拡張症の1例
山本 慶子a,b 須田 明a 飯田 智彦c 鈴木 義也d 安部 光洋a 篠崎 俊秀a
a国保直営総合病院君津中央病院呼吸器科
b千葉労災病院内科
c国保直営総合病院君津中央病院呼吸器外科
d同 産婦人科
症例は35歳,女性.21歳時に肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula:pAVF)の診断で肺部分切除術を施行されている.27歳時,遺伝性出血性末梢血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasia:HHT)の診断を受けるも,医療機関による経過観察は受けていなかった.今回,第3子妊娠25週0日に胸痛を主訴に受診し,pAVF破裂による胸腔内出血と診断され緊急入院となった.保存的に止血は得られたが,再出血の危険性が高いと判断され妊娠26週4日に肺部分切除術を施行,妊娠36週6日に帝王切開にて正常女児を出産した.HHT合併妊婦でpAVF破裂をきたしながらも母体・児ともに無事出産しえた貴重な症例である.
Received 22 March 2013 / Accepted 21 Jun 2013
連絡先:山本 慶子
〒292-8535 千葉県木更津市桜井1010
国保直営総合病院君津中央病院呼吸器科
日呼吸誌, 2(6): 782-787, 2013