骨髄内に肉芽腫を形成し,血小板減少をきたしたサルコイドーシスの1例
石黒 卓a 高柳 昇a 山川 英晃a 星 俊子b 清水 禎彦c 柳澤 勉a 杉田 裕a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b同 放射線科
c同 病理診断科
症例は82歳,男性.2012年5月下旬から食欲低下,体重減少,微熱を認めた.胸部CT検査で両下葉にすりガラス状陰影を指摘され,埼玉県立循環器・呼吸器病センターを紹介受診した.肺門・縦隔リンパ節腫大は認めなかった.低酸素血症,血小板数の減少を認め,骨髄穿刺吸引検査で類上皮細胞肉芽腫を確認した.ガリウムシンチグラフィー検査では右中下肺野,左中肺野の集積が明らかに亢進しており,気管支肺胞洗浄液はリンパ球優位でCD4/8比は4.2であった.経気管支肺生検で肉芽腫を認め,気管支肺胞洗浄液の抗酸菌塗抹,グロコット染色,培養は陰性であった.血清ACE 38.6 U/Lと高値であり,ぶどう膜炎を認めたためサルコイドーシスと診断した.骨髄の肉芽腫はサルコイドーシスの骨髄浸潤と判断した.プレドニゾロン20 mg/日を投与したところ自覚症状,微熱,血小板数は改善し,退院した.なお,経気管支肺生検で類上皮細胞肉芽腫を確認した後にCT検査を施行したところ,partial maximum intensity projection像にて肺内に微細粒状影がびまん性に多発していることがわかった.
サルコイドーシス 下肺野病変 すりガラス陰影 血小板減少 骨髄
Received 21 Dec 2012 / Accepted 14 Aug 2013
連絡先:石黒 卓
〒360-0965 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 2(6): 737-741, 2013