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基礎研究
―肺炎の基礎研究における最近のトピックスは?―
東京医科大学微生物学講座
肺炎の基礎研究は多方面から行われており,これまで多くの成果をあげてきた.感染病態や病原体の病原性などを解明するためには,マウスなどを用いた動物実験モデルの確立が必須であり,肺炎球菌や緑膿菌をはじめさまざまな病原体による肺炎モデルが報告されている.さらに最近では単一の病原体による感染だけでなく,インフルエンザウイルスと肺炎球菌の混合感染について,その病態が注目を集めている.診断の面では抗原検出や遺伝子検出による迅速診断が活発に研究され,すでに臨床においても活用されている.治療面では各種耐性菌に対する新規抗菌薬の開発が期待されているが,現実的には既存の抗菌薬の併用療法など有効な活用法に重点が置かれている.予防については各種ワクチンの検討がなされているが,特に肺炎球菌については血清型との関連で構成成分や有効性が今後の検討課題となっている.
連絡先:松本 哲哉
〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
東京医科大学微生物学講座
日呼吸誌, 2(6): 717-723, 2013