急性呼吸促迫症候群を呈した粟粒結核に両側気胸を繰り返した1例
吉井 直子a,b 森田 倫世b 吉田 也恵b 井尻 尚樹a,b 紙森 隆雄b 藤原 寛b
a大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
b淀川キリスト教病院呼吸器センター
症例は中国出身の24歳,男性.呼吸困難を主訴に淀川キリスト教病院へ搬送された.急性呼吸促迫症候群の状態であり,胸部CTでは全肺野にびまん性のすりガラス陰影を認め,播種性血管内凝固症候群も併発していた.喀痰,尿の抗酸菌塗抹と結核polymerase chain reaction(PCR)検査が陽性であったため,粟粒結核と診断した.人工呼吸器管理,抗結核薬の投与を含めた集学的治療を行ったが,経過中,両肺に計3回の気胸を繰り返し,長期胸腔ドレナージ治療を要した.約8ヶ月間の入院加療後,独歩で軽快退院した.
Received 14 Mar 2013 / Accepted 29 May 2013
連絡先:吉井 直子
〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3
大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 2(5): 637-640, 2013