顔面神経麻痺を呈したANCA陰性granulomatosis with polyangitisの1例
a神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科
b同 耳鼻咽喉科
c同 臨床病理科
症例は85歳,女性.急速に進行する難聴と呼吸困難を主訴に来院.画像上,両側肺野に多発の腫瘤影を認めたため当初肺腫瘍が疑われたが,両側の滲出性中耳炎と,血痰,発熱,多発関節痛を呈していること,および経気管支肺生検より巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎を認めたことより,限局型granulomatosis with polyangitis(GPA;Wegener肉芽腫症)確実例と診断した.経過中,右の末梢性顔面神経麻痺が出現し,プレドニゾロンとシクロフォスファミド,ST合剤にて改善した.GPAに伴う末梢性顔面神経麻痺はまれであるが早期の治療介入を要する病態であり,鑑別に挙げる必要があると考えられた.
限局型granulomatosis with polyangitis ANCA陰性 顔面神経麻痺 縦隔リンパ節腫大 気管気管支病変
Received 23 Jan 2013 / Accepted 3 Jun 2013
連絡先:西尾 智尋
〒653-0013 兵庫県神戸市長田区一番町2-4
神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(5): 584-587, 2013