IgG4関連疾患と多中心性Castleman病の鑑別を要しステロイドが奏効した胸膜・リンパ節炎の1例
原 悠a,b 新海 正晴a,b 山口 展弘a 戸田万理子a 川名 明彦b 石ヶ坪良明c 金子 猛a
a横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター
b防衛医科大学校内科学講座感染症・呼吸器
c横浜市立大学大学院病態免疫制御内科学
症例は69歳,男性.主訴は右胸痛.近医で右胸水,縦隔・肺門リンパ節腫大を指摘され,横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センターに紹介受診となった.血清IgG4,インターロイキン(interleukin:IL)-6ともに上昇を認め,IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)と多中心性Castleman病(multicentric Castleman's disease:MCD)が疑われた.胸水中IgG4陽性形質細胞と好酸球の増加に加え,右胸膜・縦隔リンパ節へのIgG4陽性形質細胞浸潤を認め,さらに,明らかな貧血・血小板増多・低アルブミン血症は認めなかったため,本病態はIgG4-RDに近いものと考えられた.一般的に,両疾患の組織所見は類似するため,臨床所見を考慮する必要があり,また,MCDの可能性を常に念頭に置き,慎重に経過観察する必要がある.
IgG4関連疾患 インターロイキン-6 リンパ節腫大 多中心性Castleman病 胸水
Received 12 Sep 2012 / Accepted 4 Apr 2013
連絡先:新海 正晴
〒232-0024 神奈川県横浜市南区浦舟4-57
横浜市立大学附属市民総合医療センター呼吸器病センター
日呼吸誌, 2(5): 544-549, 2013