高次脳機能障害を呈した肺癌合併脳静脈洞血栓症の1例
富岡 枝里 中鉢正太郎 堀尾 穣治 佐藤美奈子 松崎 達 寺嶋 毅
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科
症例は59歳,男性.全身性痙攣,高次脳機能障害,胸部異常影の精査のため東京歯科大学市川総合病院に転院した.肺腫瘍は超音波ガイド下経皮生検にて肺非小細胞癌と診断した.高次脳機能障害の原因として癌性髄膜炎や辺縁系脳炎を考え,精査したが確定的な所見は得られなかった.その後施行した頭部MR venographyにて左横静脈洞,S状静脈洞の描出が不良であり脳静脈洞血栓症と診断した.その後抗凝固療法,化学放射線療法を開始した.肺癌に合併する脳静脈洞血栓症の報告は少ないが,肺癌に合併する脳神経症状の鑑別疾患として重要と考えられた.
Received 28 Jan 2013 / Accepted 1 Apr 2013
連絡先:中鉢 正太郎
〒272-8513 千葉県市川市菅野5-11-13
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 461-465, 2013