プロピルチオウラシルの投与と関連した好酸球性胸水の1例
a九段坂病院内科
b東京医科歯科大学呼吸器内科
症例は55歳,男性.1996年に甲状腺機能亢進症と診断され,以後プロピルチオウラシル(PTU)300 mg/日を15年間内服していた.2011年4月頃より労作時呼吸困難,左胸部の違和感が出現した.5月に近医を受診し胸部X線で左胸水を指摘され,6月に九段坂病院内科紹介入院となった.胸水は滲出性で,好酸球増多を認めた.原疾患として膠原病,悪性疾患,感染症は否定的であった.甲状腺機能が正常範囲,TSHレセプター抗体陰性よりPTUを漸減,中止した.これにより胸水は減少傾向となり再貯留を認めなかった.以上の経過より,PTUによる好酸球性胸水と診断した.
Received 22 Nov 2012 / Accepted 7 Mar 2013
連絡先:石渡 庸夫
〒102-0074 東京都千代田区九段南2-1-39
九段坂病院内科
日呼吸誌, 2(4): 437-441, 2013