ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎の1例
藤田 総文a 伊波 奈穂a 芦澤 洋喜a 土屋 智義a 吉富 淳a 増田 昌文a 須田 隆文b 千田 金吾b
a静岡市立清水病院呼吸器内科
b浜松医科大学第2内科
症例は81歳,男性.近医にて心房細動に対しダビガトランエテキシラートを処方された.同時期より咳嗽,喀痰を認め,胸部X線写真にて浸潤影を指摘された.肺炎として抗菌薬の投与を受けたが改善せず,静岡市立清水病院呼吸器内科に紹介受診し入院となった.気管支肺胞洗浄を行ったところ,洗浄液中の好酸球分画が40%と上昇しており,ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎と診断した.ダビガトランエテキシラートを中止し経過観察したところ,ステロイド薬は使用せずに呼吸状態,胸部異常陰影は次第に改善していった.ダビガトランエテキシラートは,我が国では2011年3月に発売された比較的新しい抗凝固薬である.これまで,ダビガトランエテキシラートによる薬剤性好酸球性肺炎の報告はみられておらず,処方後には薬剤性肺障害の可能性について留意する必要がある.
Received 14 Nov 2012 / Accepted 5 Mar 2013
連絡先:藤田 総文
〒424-8636 静岡市清水区宮加三1231
静岡市立清水病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 414-418, 2013