長期生存したHuman immunodeficiency virus-1感染症を合併した上皮成長因子受容体野生型進行非小細胞肺癌の1例
渡邊 景明a 大熊 裕介a 細見 幸生a 田部井勇助b 加藤 冠c 岡村 樹a
aがん・感染症センター都立駒込病院呼吸器内科
b日本赤十字社医療センター脳神経外科
c東京健生病院内科
症例は62歳,男性.2003年5月に後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断され,その後,抗Human immunodeficiency virus(HIV)療法を導入されていた.2009年9月,胸部CT検査で,右上葉S2bに2.7 cmの結節を認め,経気管支肺生検にて肺腺癌と診断された.臨床病期T1bN0M1b(BRA),IV期であった.その後,抗HIV療法を併用し,化学療法とともに脳転移に対する放射線治療を行い,43ヶ月以上経過し治療中である.HIV-1感染症を合併した進行非小細胞肺癌は,適切な治療管理のもと,非HIV症例と同様の化学療法を行うことにより,同等の生存が期待される.
Received 29 Oct 2012 / Accepted 19 Feb 2013
連絡先:大熊 裕介
〒113-8677 東京都文京区本駒込3-18-22
がん・感染症センター都立駒込病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 405-409, 2013