標準治療後,管内性進展による死菌播種から肺胞腔内器質化をきたした気管支結核の1例
蛸井 浩行 角田 義弥 林 士元 関根 朗雅 林原 賢治 斎藤 武文
国立病院機構茨城東病院内科診療部呼吸器内科
症例は右S1の肺結核として標準治療を行った80歳,男性.治療終了直後,右下葉に新規陰影が出現.同病変の気管支洗浄液から結核菌群PCR陽性,培養陰性,生検で肺胞腔内器質化を認めた.一方,右B1では気管支結核に合致する所見を認めた.右B1気管支結核病巣から経気道的に散布された死菌成分が局所でアレルギー反応を惹起し,器質化病変を形成したと推察され,結核菌死菌による局所免疫反応,いわゆる初期悪化に相当する病態と考えた.空洞を有しない肺結核症例で同病態をみた場合,死菌の排菌源として気管支結核を考慮すべきと考えられた.
気管支結核 初期悪化 管内性進展 肺胞腔内器質化 気管支鏡検査
Received 24 Oct 2012 / Accepted 31 Jan 2013
連絡先:蛸井 浩行
〒319-1113 茨城県那珂郡東海村照沼825
国立病院機構茨城東病院内科診療部呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 401-404, 2013