Pulmonary oxalosisを伴い急速に呼吸不全の進行した肺アスペルギルス症の1例
石藤 智子a 高木 理博a 土橋 佳子b 吉嶺 裕之c 森本浩之輔a 有吉 紅也a
a長崎大学病院感染症内科(熱研内科)
b社会福祉法人十善会病院
c社会医療法人春回会井上病院
症例は発熱と呼吸困難を主訴に受診し,肺炎の診断で入院した64歳の男性.気管支鏡で採取した気管支内分泌物の培養でAspergillus nigerが分離され,広域抗菌薬,抗真菌薬の投与を行ったが,呼吸不全が急速に進行し第10病日に死亡した.剖検では肺組織に血管侵襲性を伴うアスペルギルスの増殖とその周囲に多量のシュウ酸カルシウムの沈着を認めた.A. nigerによるシュウ酸産生からpulmonary oxalosisを生じ,その強い炎症と組織破壊により急速に呼吸不全が進行したと推察された.
肺アスペルギルス症 シュウ酸カルシウム 呼吸不全 Pulmonary oxalosis Aspergillus niger
Received 30 Aug 2012 / Accepted 7 Feb 2013
連絡先:石藤 智子
〒852-8501 長崎市坂本1-7-1
長崎大学病院感染症内科(熱研内科)
日呼吸誌, 2(4): 370-374, 2013