喀痰中肺炎球菌抗原検出キットの有用性―尿中抗原検出キット・グラム染色との比較―
福島喜代康a 中村 茂樹b,j 高柳 昇c 東山 康仁d 石田 直e 井上 祐一f 澤井 豊光b,g 吉村 邦彦h,k 角川 智之i,j 河野 茂j
a日本赤十字社長崎原爆諫早病院呼吸器科
b国立病院機構嬉野医療センター呼吸器内科
c埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
d北松中央病院呼吸器内科
e倉敷中央病院呼吸器内科
f健康保険諫早総合病院呼吸器内科
g佐世保市立総合病院内科
h虎の門病院呼吸器センター内科
i北九州市立八幡病院内科
j長崎大学医学部第二内科
k日本赤十字社大森赤十字病院呼吸器内科
全国14施設において,喀痰グラム染色,喀痰培養,尿中抗原検出キット,喀痰抗原検出キットの4検査が同時に実施された成人市中肺炎166例を対象に,肺炎球菌の検出性能を比較した.感度はグラム染色:73.6%,尿中抗原検出キット:62.3%,喀痰抗原検出キット:88.7%であった.喀痰抗原検出キットは尿中抗原検出キットに比べ軽症群ならびに発症2日目までの症例群で有意に感度が高かった(p<0.03,p<0.03).喀痰抗原検出キットはグラム染色より有意に一致率が高かった(p<0.01).成人市中肺炎の初期診療における喀痰抗原検出キットの有用性が示唆された.
Received 26 Nov 2012 / Accepted 27 Dec 2012
連絡先:福島 喜代康
〒859-0497 長崎県諫早市多良見町化屋986-2
日本赤十字社長崎原爆諫早病院呼吸器科
日呼吸誌, 2(4): 343-348, 2013