実地臨床におけるanaplastic lymphoma kinase陽性肺癌に対するクリゾチニブの使用経験
栁谷 典子a 大柳 文義a 中富 克己a 工藤 慶太a 堀池 篤a 元井 紀子b 石川 雄一b 宝来 威a 西尾 誠人a
a公益財団法人がん研究会有明病院呼吸器内科
b同 研究所病理部
2012年3月にanaplastic lymphoma kinase(ALK)阻害薬であるクリゾチニブ(crizotinib)が承認され,我が国でも一般診療に使用できるようになった.しかし,ALK陽性肺癌は頻度が低く,実地臨床でのまとまった報告はない.そこで,承認後の2012年3~7月の期間に,がん研有明病院において実地臨床としてクリゾチニブの治療を行った12例について効果と有害事象を検討した.男/女は5/7例,年齢中央値49歳,非喫煙者/軽喫煙者は6/6例で,腺癌であった.奏効率は81.8%で,有害事象は,視覚異常,肝機能障害,消化器症状,間質性肺炎などを認めた.
Received 21 Nov 2012 / Accepted 31 Jan 2013
連絡先:栁谷 典子
〒135-8550 東京都江東区有明3-8-31
公益財団法人がん研究会有明病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 338-342, 2013