脊髄横断症状にて発症した原発性肺癌症例の検討
時政 雄平a 松尾 潔a,* 槇本 剛a 肥後 寿夫a 亀山 伸久a 松下 瑞穂a 佐藤 賢a 藤原 慶一a 米井 敏郎a 佐藤 利雄a
a国立病院機構岡山医療センター呼吸器科
*現 津田内科小児科医院
肺癌の脊椎転移による脊髄横断症状はquality of life,performance statusの急激な低下をきたし,積極的な治療介入が困難な場合も多い.2004年5月から2012年5月までに,脊髄横断症状が初発症状であった原発性肺癌13例を経験した.症例の年齢中央値は64歳,男性10例,女性3例,組織型は腺癌10例,扁平上皮癌2例,小細胞癌1例.脊椎固定術・除圧術は8例に施行し,6例に横断症状の改善を認めた.化学療法施行例は10例,放射線療法施行例は8例.生存期間中央値は232日(6~428日)であり,3例は1年以上生存した.予後不良とされる脊髄横断症状であるが,治療法の選択によりquality of life,予後の改善が得られる可能性がある.
Received 27 Jul 2012 / Accepted 22 Mar 2013
連絡先:松尾 潔
〒701-1192 岡山市北区田益1711-1
国立病院機構岡山医療センター呼吸器科
日呼吸誌, 2(4): 321-326, 2013