関節リウマチに対してアバタセプト投与中に発症したニューモシスチス肺炎の1例
社会保険中央総合病院呼吸器内科
症例は62歳,女性.関節リウマチに対し12年前よりプレドニゾロン6 mg/日,メトトレキサート8 mg/週で加療されていた.コントロール不良のため,2011年2月よりアバタセプトが導入された.同年7月乾性咳嗽,発熱が出現.2週後社会保険中央総合病院紹介受診.両側びまん性のすりガラス様陰影と低酸素血症を認めBALを施行した.BALFのGrocott染色でPneumocystis jiroveciiを検出.ニューモシスチス肺炎(PCP)と診断し,ST合剤およびステロイドを投与し改善を得た.アバタセプトは関節リウマチの新たな治療薬として国内では2010年9月より発売されている生物学的製剤であるが,いまだ国内でPCPの合併は文献報告例がない.欧米ではPCPを含め重篤な感染症合併率は低いとされているものの,日本では市販後全例調査で8例が把握されており,他の生物学的製剤と同様,注意が必要である.
Received 12 Sep 2012 / Accepted 12 Nov 2012
連絡先:田中 有紀子
〒169-0073 東京都新宿区百人町3-22-1
社会保険中央総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(3): 300-304, 2013