治療抵抗性の低Na血症と低血糖で発見された肺小細胞癌下垂体転移の1例
山口 覚博 北口 聡一 香川真由子 小川 喬史 菅原 文博 江川 博彌
広島市立安佐市民病院呼吸器内科
症例は66歳,男性.全身倦怠感と体重減少を主訴に来院.左肺S8に10 mmの結節と右鎖骨上窩リンパ節腫脹,多発脳腫瘍,多発膵腫瘍を認めた.右鎖骨上窩リンパ節生検を行い,肺小細胞癌(T1aN3M1b Stage IV,ED)と診断した.performance status(PS)は4.血液検査で低Na血症・低血糖・血清コルチゾール低値を認め,下垂体転移に伴う汎下垂体機能低下症を疑い,ホルモン補充を開始した.まもなくPSは改善し,化学療法を施行可能となった.肺癌の下垂体転移に伴う汎下垂体機能低下症はまれだが,早期介入で積極的加療が可能となり,予後の延長が見込める重要な病態である.
Received 15 Aug 2012 / Accepted 8 Nov 2012
連絡先:山口 覚博
〒731-0223 広島市安佐北区可部南2-2-1
広島市立安佐市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(3): 279-283, 2013