胸腔鏡下肺生検術で診断し,12年間の経過を観察しえた特発性樹枝状肺骨形成の1例
小野健太郎 竹田 知史 藤並 舞 福田 光輝 加藤 友美 齊藤 隆一 孫野 直起 上田 哲也 坂東 憲司 長谷川吉則
大阪府済生会中津病院呼吸器内科
症例は39歳,男性.27歳時に,健康診断での胸部異常陰影にて大阪府済生会中津病院を受診した.無症状で,胸部CTでは両肺びまん性に網状粒状影を認めた.診断目的に胸腔鏡下肺生検術を行ったところ,肺内に珊瑚状の骨化巣が多発しており,一部に骨髄を含んでいた.基礎疾患を認めず特発性樹枝状肺骨形成と診断した.その後12年間の経過観察では,症状,画像,呼吸機能ともに明らかな増悪を認めなかった.特発性樹枝状肺骨形成は剖検にて診断されることが多く,本症例のように生存中に診断が得られ,その長期経過を観察しえた報告は本邦初である.
Received 6 Aug 2012 / Accepted 3 Dec 2012
連絡先:小野 健太郎
〒530-0012 大阪市北区芝田2-10-39
大阪府済生会中津病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(3): 264-268, 2013