経頭蓋超音波にて右左シャントを確認しえた脳膿瘍を合併した肺動静脈奇形の1例
高倉 裕樹 濱中 伸介 今坂 圭介 小室 彰男 青木 輝浩 清水 邦彦
済生会横浜市東部病院呼吸器センター
症例は23歳,男性.主訴は頭痛,発熱.項部硬直を認め髄液検査で多核球優位の細胞数の増加を認めた.血液・髄液培養は陰性であったが,造影MRIにて脳膿瘍と診断した.胸部造影CTにおいて右S6に流入・流出血管を伴う腫瘤性病変を認め,肺動静脈奇形の関与が考えられた.経頭蓋超音波検査によって右左シャントが確認され,肺動静脈奇形による脳膿瘍と診断した.抗菌薬投与により脳膿瘍は改善し,胸腔鏡下右肺下葉区域切除術を施行した.術後に施行した経頭蓋超音波検査では右左シャントは確認されず,神経脱落症状を残さず退院となった.
肺動静脈奇形 肺動静脈瘻 脳膿瘍 右左シャント 経頭蓋超音波検査
Received 23 Jul 2012 / Accepted 24 Oct 2012
連絡先:高倉 裕樹
〒230-0012 神奈川県横浜市鶴見区下末吉3-6-1
済生会横浜市東部病院呼吸器センター
日呼吸誌, 2(3): 254-258, 2013