
急性の呼吸器症状と下肺野の浸潤陰影を呈した肺サルコイドーシスの1例
永川 博康a 山口 哲生b 青山 眞弓a 小西 建治a 安積 隆a 江石 義信c
a聖隷横浜病院呼吸器内科
bJR東京総合病院呼吸器内科
c東京医科歯科大学大学院人体病理学
症例は66歳,女性.2008年11月に咳嗽と呼吸困難感で受診した.胸部CTで右中下葉と左下葉に多発浸潤陰影を認めた.市中肺炎として,抗菌薬内服したが症状は改善せず.肺胞性陰影の増悪が認められたため,特発性器質化肺炎を疑い,経気管支肺生検を施行した.生検より非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,肺サルコイドーシスと診断した.またPAB抗体染色陽性であった.肺野陰影はさらに増悪したが,ステロイド内服にて軽快した.Battestiがalveolar sarcoidosisで急性経過を呈し,ステロイドが奏効する症例を報告している.本例もその報告に合致する1例と考えられた.
浸潤陰影 肺胞性サルコイドーシス 市中肺炎 特発性器質化肺炎 PAB抗体
Received 18 Jul 2012 / Accepted 26 Nov 2012
連絡先:永川 博康
〒240-8521 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岩井町215
聖隷横浜病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(3): 244-248, 2013