
食道,気管支,頸部皮膚に穿孔し瘻孔をきたした肺門(縦隔)リンパ節結核の1例
岩切章太郎a 糸井 和美a 今村 直人a 上松 浩子a 遠藤 和夫b 平林 正孝b
a兵庫県立尼崎病院呼吸器外科
b同 呼吸器内科
症例は32歳,男性.発熱,咳嗽にて近医受診し肺門,縦隔リンパ節腫大を指摘された.縦隔鏡下リンパ節生検を施行直後に黒褐色吐物を認め,肺門(縦隔)リンパ節結核の食道穿孔と診断し抗結核治療開始した.治療開始後2ヶ月半に両肺野に浸潤影が出現し,肺門(縦隔)リンパ節結核の気管支穿孔と診断した.5ヶ月に右頸部皮膚瘻が出現したが治療継続により5,10,19ヶ月に食道,皮膚,気管支瘻は各々閉鎖,23ヶ月に縦隔リンパ節の軽度腫大を残すのみとなり治療終了した.食道,気管支,頸部皮膚に穿孔した肺門(縦隔)リンパ節結核は非常にまれで,貴重な症例と考え報告する.
肺門リンパ節結核 縦隔リンパ節結核 食道穿孔 気管支穿孔 頸部皮膚瘻
Received 29 Jun 2012 / Accepted 14 Nov 2012
連絡先:岩切 章太郎
〒660-0828 兵庫県尼崎市東大物町1-1-1
兵庫県立尼崎病院呼吸器外科
日呼吸誌, 2(3): 238-243, 2013