インフルエンザA感染を契機に急性副腎不全を発症した副腎結核の1例
a国立病院機構熊本医療センター呼吸器内科
b江南病院呼吸器科
症例は42歳,男性.頸部リンパ節生検後,インフルエンザAを発症してオセルタミビルで治療されたが,発熱に加え嘔吐下痢とショックが出現して国立病院機構熊本医療センター呼吸器内科に入院した.結核性リンパ節炎と肺結核と診断して抗結核薬4剤治療を開始したが,発熱以外の症状が遷延した.皮膚の色素沈着,両側副腎腫大と石灰化,ACTH 512 pg/ml,コルチゾール≦1.0 μg/dlの所見から,副腎結核による慢性副腎不全が感染を契機に急性副腎不全を発症したと診断した.嘔吐下痢,血圧低下を伴う結核では急性副腎不全も疑うことが重要と思われた.
Received 18 May 2012 / Accepted 18 Sep 2012
連絡先:柏原 光介
〒860-0008 熊本市中央区二の丸1-5
国立病院機構熊本医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 2(3): 215-218, 2013