好酸球性気道炎症を伴う慢性閉塞性肺疾患の1例―新たな表現型の可能性―
塚本 敬造 久米 裕昭 西山 理 岩永 賢司 中島 宏和 東田 有智
近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
症例は72歳,男性.喫煙歴,肺気腫,喀痰中好酸球比率3%未満,肺機能検査などから慢性閉塞性肺疾患(COPD)のII期と診断し,チオトロピウムを中心とした治療を開始した.しかし,経過中に喘鳴,呼吸困難が出現し,喀痰中好酸球比率が36%と著明に増加し入院となった.気管支喘息の合併を疑いステロイド薬を追加したところ,症状は軽快した.鑑別診断のためアセチルコリン吸入誘発試験を施行したが気道過敏性の亢進は認めなかった.以上より,典型的な気管支喘息の病態は合併せず,好酸球性気道炎症を伴うCOPDという,新たな表現型(臨床病型)である可能性が疑われる.
慢性閉塞性肺疾患 好酸球性気道炎症 表現型 誘発喀痰検査 気道過敏性
Received 7 Feb 2012 / Accepted 15 Dec 2012
連絡先:久米 裕昭
〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
日呼吸誌, 2(3): 199-204, 2013