非後天性免疫不全症候群(非AIDS)患者に発症した播種性Mycobacterium avium症
宇津 永遠a 松岡 弘典a 小山 美鳥a 狛 泰子a 福光 研介a 笠井 由隆a 桝屋 大輝a 吉松 昭和a 蛇沢 晶b 鈴木雄二郎a
a神鋼病院呼吸器センター
b国立病院機構東京病院臨床検査科
症例は81歳,女性.8週間以上持続する発熱を主訴に神鋼病院呼吸器センターを紹介受診し,不明熱の精査目的で入院した.入院後の胸部CTで両側びまん性に小粒状影を認めた.気管支鏡検査でMycobacterium aviumを検出したが,中葉舌区症候群を認めていたため,診断には結びつかなかった.胸腔鏡下肺生検を行ったところ,病理組織で胸膜直下および静脈周囲を含め小葉内にランダムに分布する肉芽腫が形成されており,Ziehl-Neelsen染色で肉芽腫内に抗酸菌が確認され,組織培養からM. aviumが陽性であったため,播種性Mycobacterium avium症と診断した.クラリスロマイシン,リファンピシン,エタンブトール,アミカシンの4剤治療で小粒状影の消失を認めた.本症例においてhuman immunodeficiency virus(HIV)感染は認めず,播種性M. avium症が非後天性免疫不全症候群(非AIDS)患者に発症した,まれな例と考えられた.
播種性非結核性抗酸菌症 Mycobacterium avium
Received 9 Jul 2012 / Accepted 29 Aug 2012
連絡先:松岡 弘典
〒651-0072 兵庫県神戸市中央区脇浜町1-4-47
神鋼病院呼吸器センター
日呼吸誌, 2(2): 153-156, 2013