ポジトロン断層法の所見から肺動脈原発血管肉腫が疑われた1剖検例
小宮山謙一郎a,b 嶺崎 祥平a,b 市村 隆也c 清水 禎彦c 金澤 實a 小林 国彦b
a埼玉医科大学病院呼吸器内科
b埼玉医科大学国際医療センター呼吸器内科
c同 病理診断科
症例は59歳,女性.徐々に進行する労作時呼吸困難にて埼玉医科大学病院入院.胸部造影CTにて肺動脈内の陰影欠損がみられた.ポジトロン断層法(18F-fluorodeoxy glucose positron emission tomography:FDG-PET)にて肺動脈の腫瘍が疑われた.肺動脈の血液サンプリングでは診断できず,全身状態不良のため手術切除は行われなかった.抗凝固薬と在宅酸素療法のみで加療したが,肺高血圧による循環不全をきたし死亡した.剖検標本から肺動脈原発血管肉腫と診断した.肺動脈血管肉腫はきわめてまれな腫瘍で,文献的考察を加えて報告する.
Received 25 May 2012 / Accepted 1 Aug 2012
連絡先:小宮山 謙一郎
〒350-0451 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
埼玉医科大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(2): 143-147, 2013