腫瘍関連網膜症を契機に発見された小細胞肺癌の1例
公益財団法人がん研究会有明病院呼吸器内科
症例は52歳,男性.視力低下を主訴に前医眼科を受診した.進行性の視力低下,多局所網膜電図での網膜全体にわたる著しい電位の低下を両眼に認め,腫瘍関連網膜症が疑われたため,全身検索を行った.胸部CTで右肺S6に腫瘤影を認め,気管支鏡検査で小細胞肺癌と診断された.また抗リカバリン抗体が陽性であり,腫瘍関連網膜症の診断が確定した.小細胞肺癌に対し,化学療法を施行したが効果なく,視機能の改善も得られないまま,原疾患悪化のため死亡した.腫瘍関連網膜症を契機に発見された小細胞肺癌の1例を経験したので報告する.
Received 30 Mar 2012 / Accepted 7 Sep 2012
連絡先:栁谷 典子
公益財団法人がん研究会有明病院呼吸器内科
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日呼吸誌, 2(2): 123-127, 2013