気管支充填術が有用であったMycobacterium avium complexによる気胸・胸膜炎の1例
藤田 哲雄a 坂入 祐一b 寺田 二郎a 漆原 崇司a 野口 直子a 内藤 雄介a 加藤 忠照a 川崎 剛a 黒田 文伸a 黒須 克志a 渡邉 哲c 田邉 信宏a 滝口 裕一a 巽 浩一郎a
a千葉大学医学部呼吸器内科
b同 呼吸器外科
c同 感染症治療部
症例は64歳,女性.肺Mycobacterium avium complex(MAC)症に対して3年間化学療法を継続し病勢は安定していた.化学療法の中止6ヶ月後に陰影が悪化し,さらに右側気胸と胸水貯留を認めた.入院精査にて肺MAC症の悪化に伴う気胸および胸膜炎と診断し,胸腔ドレナージと化学療法を施行した.胸水は減少したが気胸が持続したため,気管支充填術を2回施行したところ肺の再膨張が得られた.本症例は肺MAC症に気胸および胸膜炎を合併し,難治性気胸に対して気管支充填術が有用であった貴重な症例と考えられた.
Mycobacterium avium complex 気胸 胸膜炎 気管支充填術
Received 12 Mar 2012 / Accepted 8 May 2012
連絡先:藤田 哲雄
〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1
千葉大学医学部呼吸器内科
日呼吸誌, 1(7): 609-613, 2012