エルロチニブが奏効したEML4-ALK陽性,EGFR遺伝子変異陰性肺腺癌の1例
伊藤健太郎a 畑地 治a 駒田 文彦b 蛯原 愛子c 小林 裕康d 田口 修d
a松阪市民病院呼吸器科
b同 内科
c山本総合病院内科
d三重大学医学部附属病院呼吸器内科
症例は43歳,男性,呼吸困難を主訴に当院を受診した.経気管支肺生検の結果は肺腺癌であり,シスプラチン(CDDP)+ゲムシタビン(GEM),ドセタキセル(DTX)投与を受けるも改善せず,エルロチニブ(erlotinib)投与にて,腫瘍が縮小した.さらに再度腫瘍が増大したため,ベバシズマブ(bevacizumab)を含む化学療法へ変更後,1年間病勢制御可能となった.追加検査にてepidermal growth factor receptor(EGFR)遺伝子変異陰性,echinoderm microtubule-associated protein-like 4(EML4)-anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子陽性であることが判明したが,再度の腫瘍増大に対しエルロチニブ再投与を行ったところ腫瘍は再度縮小し,再投与開始8ヶ月後もなお腫瘍は縮小を続けていた.
エルロチニブ EML4-ALK EGFR エルロチニブ再投与
Received 7 Mar 2012 / Accepted 9 May 2012
連絡先:伊藤 健太郎
〒515-8514 三重県松阪市殿町1550
松阪市民病院呼吸器科
日呼吸誌, 1(7): 604-608, 2012