乳糜胸腹水の治療に難渋したリンパ脈管筋腫症の1例
髙橋 葉子a 髙橋 隆二a 今井 陽子a 西條 浩a 小林 智史a 馬渡 徹b
a市立函館病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
39歳,女性.近医にて気管支喘息疑いで加療中に,胸部X線写真上右胸水貯留を認められ入院となり,胸腔穿刺で乳糜胸水と診断された.処置後の胸腹部CTで両肺野に薄壁小嚢胞が散見され,左後腹膜および右横隔膜に腫瘤影と少量腹水も認めた.胸腔鏡下肺生検でリンパ脈管筋腫症と診断した.胸管結紮術により乳糜胸は改善せずオクトレオチド(octreotide)を投与したところ改善した.その後,乳糜腹水の増加を認め腹水濾過濃縮再静注法を施行し,コントロールは良好となった.乳糜胸腹水の治療に苦慮した場合オクトレオチドや腹水濾過濃縮再静注法も考慮する必要があると考えられる.
リンパ脈管筋腫症 乳糜胸 乳糜腹水 オクトレオチド 腹水濾過濃縮再静注法
Received 7 Feb 2012 / Accepted 2 May 2012
連絡先:髙橋 隆二
〒041-8680 北海道函館市港町1-10-1
市立函館病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(7): 594-598, 2012