嘔吐を契機に血胸で発症した縦隔型気管支動脈瘤破裂の1例
大町 直樹a,* 濱野 紗朱a 綿屋 洋a 鶴田 伸子a 樋口 和行a
a国家公務員共済組合連合会浜の町病院呼吸器内科
*現 独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科
症例は59歳,女性.感染性胃腸炎による嘔吐後より右胸痛を認めた.胸部単純CTにて右胸腔内の液体貯留および食道奇静脈陥凹の血腫を認め,胸腔穿刺にて右血胸を確認した.胸部造影CTの画像再構成multiplanar reconstruction(MPR)で縦隔の気管支動脈瘤を認め,気管支動脈瘤破裂と診断した.血行動態は安定しており気管支動脈塞栓術を施行した.術後,血腫の縮小と血胸の改善を認めた.16ヶ月後の造影CTでも再発を認めておらず経過良好である.気管支動脈瘤破裂が血胸で発症することはまれであるが,念頭に置くべき病態と考えられた.
Received 3 Apr 2012 / Accepted 6 Jun 2012
連絡先:大町 直樹
〒810-0073 福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-27
国家公務員共済組合連合会浜の町病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(1): 63-67, 2013