気管支喘息発作の治療中に侵襲性肺アスペルギルス症を発症した1例
井上 裕介a,b 吉村 克洋a 大前美奈子a 佐藤 慈子a 横村 光司a 須田 隆文b 千田 金吾b
a聖隷三方原病院呼吸器センター内科
b浜松医科大学第2内科
症例は76歳,女性.気管支喘息で他院に通院中であったが,喘鳴,呼吸困難を訴え,下気道感染症,気管支喘息発作の診断で入院となった.一般抗菌薬や気管支拡張薬,8日間のステロイド全身投与が行われたが無効で,新たな肺炎像が出現した.気管支鏡検査を行い侵襲性肺アスペルギルス症と診断し,抗真菌薬の投与で改善した.高度の免疫抑制状態をきたすような背景因子はなく,ステロイドの全身投与と下気道感染症による気道粘膜傷害が発症の主な誘因と考えられた.
侵襲性肺アスペルギルス症 気管支喘息 ステロイド 抗真菌薬治療
Received 26 Mar 2012 / Accepted 9 Jul 2012
連絡先:井上 裕介
〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器センター内科
日呼吸誌, 2(1): 53-58, 2013